15年目を迎えた山手線沿線私立大学図書館コンソーシアム
立教大学図書館利用支援課
2015/11/27
トピックス
OVERVIEW
山手線沿線私立大学図書館コンソーシアムの理念をご紹介します。
立教大学池袋図書館
2000年3月、青山学院大学、学習院大学、國學院大學、東洋大学、法政大学、明治大学、明治学院大学、立教大学の私立大学図書館は、それぞれの独自性を尊重しつつ、利用者へのサービス向上、相互協力の促進を目的として、山手線沿線私立大学図書館コンソーシアム(以下「山手コンソ」)協定を締結しました。加盟図書館の当時の蔵書数の合計は1161万冊(現在は1342万冊)を超え、まさに「知の宝庫」の創生ともいえます。
立教大学図書館は当時、明治大学図書館との相互協力協定の締結を目指して検討を進めていました。しかし、大学を取り巻く状況に鑑み、大きな視点での図書館運営が必要であるとの認識のもと、近隣大学に呼び掛け、コンソーシアム化への協議が始まりました。
立教大学図書館は当時、明治大学図書館との相互協力協定の締結を目指して検討を進めていました。しかし、大学を取り巻く状況に鑑み、大きな視点での図書館運営が必要であるとの認識のもと、近隣大学に呼び掛け、コンソーシアム化への協議が始まりました。
利用者へのサービス
山手コンソは、相互に協力すべきプログラムを設定して取り組んできました。利用者にとって大きなサービス拡大となったものとしては、加盟8大学図書館の所蔵資料を横断的に検索するシステムの開発・導入、利用証による加盟図書館への入館利用、図書の貸出の実施等が挙げられます。従来、他大学の図書館を利用するには、所属する図書館の窓口で紹介状を書いてもらい、それを紹介先図書館に持参して閲覧・複写を依頼するものでした。利用証による加盟図書館への入館利用の実現は、紹介状無しに学生証だけ(書類記入を必要とする場合あり)で入館できることとなり、大きな飛躍だったと思われます。さらに、協定締結から1年後には、他大学図書館所蔵の図書貸出が実現されました。貸出を受ける図書館に直接行くことが必要となりますが、他の地域コンソーシアムを見ても、他大学の利用者に図書を貸し出すことはまれなことです。
近年では、ネット上の情報や論文だけを使用して勉強できる環境も存在します。しかし、実際に目的の図書を図書館に探しに行き、当該図書の付近にある類似テーマの図書を見たり、また、そこに記されている参考文献・引用文献をヒントにしたりすることで、研究テーマを深めるきっかけをつかむことができるかもしれません。山手コンソという、現物に触れられる巨大な「知の宝庫」を活用してほしいと思います。
近年では、ネット上の情報や論文だけを使用して勉強できる環境も存在します。しかし、実際に目的の図書を図書館に探しに行き、当該図書の付近にある類似テーマの図書を見たり、また、そこに記されている参考文献・引用文献をヒントにしたりすることで、研究テーマを深めるきっかけをつかむことができるかもしれません。山手コンソという、現物に触れられる巨大な「知の宝庫」を活用してほしいと思います。
利用状況
〈表1〉他大学生の立教大学図書館利用者数推移
山手コンソ協定校の他大学生がどの程度、本学図書館を利用したのかをみると、2014年度では2855名です。これは、山手コンソ利用者の合計17267名に対して16.5%にあたり、8大学中2番目に利用が多い図書館になります。また、2012年秋の池袋図書館の開館前後を比較すると、2011年度は他大学からの利用者数が969名だったのに対し、2013年度は2629名と2.7倍以上の増加であり、8大学中1番目の増加率となっています〈表1〉。その他、本学図書館では、蔵書数に比して他大学からの利用者数が多いという特徴があります。この背景には、図書館の立地条件や図書館設備・環境の良さ、所蔵資料の特性等、さまざまな要因が影響していると考えられます。一方、本学からの他大学図書館利用数は、2014年度で2091名であり、山手コンソ利用者に対する割合は12.1%と、8大学中4番目となります。
これからの山手コンソ
山手コンソは、利用者サービスの面で大きな進展があり、広く大学図書館界に誇ることのできるコンソーシアムであるといえます。一方で、取り組むべき課題として、図書・雑誌の分担収集や収書の調整等を挙げていますが、十分な成果を上げるには至っていません。
この点において、山手コンソの活動が停滞しているともいえます。山手コンソには、将来の大学図書館の在り方を見据えつつ課題を捉え直し、連携をうまく機能させていくことが求められています。そうした取り組みこそが利用者サービスの向上につながると考えます。大学間の競争が激しくなる中で、大学図書館としての連携をどのように行っていくのか、今後の山手コンソを見守っていただきたいと思います。
※ 山手コンソの詳細な利用条件等は、利用する図書館のWebサイトをご参照ください。
この点において、山手コンソの活動が停滞しているともいえます。山手コンソには、将来の大学図書館の在り方を見据えつつ課題を捉え直し、連携をうまく機能させていくことが求められています。そうした取り組みこそが利用者サービスの向上につながると考えます。大学間の競争が激しくなる中で、大学図書館としての連携をどのように行っていくのか、今後の山手コンソを見守っていただきたいと思います。
※ 山手コンソの詳細な利用条件等は、利用する図書館のWebサイトをご参照ください。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
※本記事は季刊「立教」234号 (2015年9月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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