公開講演会「反アパルトヘイト運動を記憶する」
INFORMATION
共生社会研究センターでは、主として1960年代から90年代にかけて、日本各地で展開した反アパルトヘイト運動の記録を所蔵・公開している。これらの記録は、アパルトヘイト下の南アフリカにおいて、黒人に対する抑圧・差別と闘う人々と連帯した日本の市民たちの活動が生み出したものである。これらの貴重な記録は、運動当事者とアフリカ研究者の努力により収集・整理され、2016年3月、センターに寄贈された。
制度としてのアパルトヘイトは終わりを告げた。しかし世界は今も、「私たち」と「彼ら」を差別する言説やふるまいに満たされていないだろうか。そこで本講演会では、運動当事者である楠原彰氏、下垣桂二氏、そしてアフリカ研究者の牧野久美子氏をお招きし、それぞれの立場から反アパルトヘイト運動の経験と今日的意義、そして記録を通した運動の記憶の継承について語っていただく。
講師
國學院大學名誉教授
楠原 彰 氏
日本社会が経済を中心に南アのアパルトヘイト体制に組み込まれていく1960年代半ばから、90年代前半アパルトヘイト体制が崩壊し新生南ア共和国が誕生する90年代半ばまで、反アパルトヘイト運動に関わる。人間を差別し対立させ非人間化する凄惨な南アのアパルトヘイト(人種隔離政策)と、日本の子ども・若者に対する日本の政治や教育による他者・社会・世界からの<隔離>(もう一つのアパルトヘイト)の問題を考えてきた。
関西・南部アフリカネットワーク
下垣 桂二 氏
関西を中心に活動した反アパルトヘイト市民運動に1970年から参加。1990年のネルソン・マンデラ歓迎西日本集会では事務局長。主な著書に『ポスト・アパルトヘイト』(共著、日本評論社、1992年)、『南アフリカを知るための60章』(共著、明石書店、2010年)など。
独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所
牧野 久美子 氏
南アフリカの政治経済、とくに公共政策形成における市民社会組織や社会運動の役割を主な研究領域とする。また、2014年度より科研費基盤研究(C)「反アパルトヘイト国際連帯運動の研究:日本の事例を中心として」研究代表者として、日本の反アパルトヘイト運動に関する調査を実施。主な著作に『南アフリカの経済社会変容』(共編著、アジア経済研究所、2013年)、『新興諸国の現金給付政策』(共編著、アジア経済研究所、2015年)など。
詳細情報
名称
対象者
※申込不要、入場無料