思いをつなぐ架け橋に──
熊本地震を伝え、エールを熊本へ届ける

コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科2年次 髙山賢太郎さん

2018/11/19

立教生のキャンパスライフ

OVERVIEW

高校3年の4月、地元である熊本で地震に見舞われた髙山賢太郎さんは、大学進学で故郷を離れてからもずっと、自分にできる支援活動を考えて行動してきた。活動の大きな柱の一つが熊本地震や熊本を「伝える」こと、そして継続していくこと。

避難所内で子どもたちとサッカー。「また会おう」という子どもたちに応えて、継続的な交流を計画している

2016年4月14日夜と16日未明、2度の激震が襲った熊本地震。市内のマンションに住む髙山さんは大きな被害は免れたが、戸建ての祖母宅は倒れた家具や家電製品が床をふさぎ、皿という皿が割れて荒れ果てた。
「穏やかな祖母の日常や私にとっても安らぎだった場所が、理不尽に奪われてしまったことが悔しく、あの時は祖母に隠れて大泣きしました」
しばらくは高校も休みになり、髙山さんは祖母宅の片付けや避難所でのボランティア活動をして過ごした。不安や恐怖は続いたが、地元プロサッカークラブ・ロアッソ熊本のアカデミーに所属し、Jリーグ選抜チームにも参加経験のある髙山さんは、全国の友人からのメッセージや電話に励まされた。
「サッカーのおかげでたくさんのエールをもらい、前を向くことができました」

熊本県教育委員会を訪問。『つなぐ~熊本の明日へ~』を手に

髙山さんは自身の境遇に感謝し、翌年春、立教大学への進学で上京が決まった時、思いや教訓をかたちに残したいと、熊本日日新聞社が募った「熊本地震の手記」に応募した。気丈に一人暮らしを続けることを選んだ祖母に読んでもらうためでもあった。
大学入学後は、学内のボランティアセンターを通して熊本を支援する活動をしてきた髙山さん。体育会サッカー部に所属し、学業に部活動に忙しい日々を送る中、手記の新聞掲載の知らせが届く。
「思いがけずたくさんの方からの反響に、『伝える』ことがもたらす影響の大きさを改めて感じました」
さらに、髙山さんの手記は熊本県教育委員会の目に留まり、2018年度の中学生向け道徳の教材『つなぐ~熊本の明日へ~』へも掲載された。
「手記が地震の備えや、当たり前の日常が当たり前でないことに気づくきっかけとなればと思います」
震災から2年が過ぎ、力強く前進している熊本の様子が報道される一方で、まだまだ日常を取り戻せない人たちもいる。髙山さんは熊本の人たちにエールを届けるために、サッカーのつながり、立教でできた復興支援のつながり、そして自分のように故郷・熊本を離れている人たちのつながりに働きかけ、「応援プレゼンテーション」を作成し、熊本の避難所を訪れた。
「私のプレゼンに、みんなが釘付けになっていました(笑)本当にやってよかったです」
6月、髙山さんの活動は、ボランティア活動を行う学部学生対象のポール・ラッシュ博士記念奨学金に採択された。髙山さんの「伝える」支援は、確かな足取りで続く。
(2018年5月取材)

熊本で「応援プレゼンテーション」に見入る子どもたち

学内で熊本地震や熊本について伝える

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